中門漆器店100年の歴史
【小工房の歴史から現在の取り組みまで】
中門漆器店は初代中門和三郎が、2011年6月日本で初めて世界農業遺産に認定された
千枚田のある白米から輪島に出て、輪島塗の木地屋をしたと言う。
2代目、吉太郎は漆器製造をして行商に出て、輪島では塗師屋と呼ばれていた。
3代目、守も製造をしながら、能登島を販路開拓し年に数回商品を持ってお得意先を商いに
回っていた。
4代目、博は22歳の時輪島に戻り、上塗訓練校で上塗を学び輪島塗の最終工程の上塗を
専門として輪島の業者の上塗をしておりました。
その頃はバブルの絶頂期で、輪島塗は日常の生活から離れた煌びやかな蒔絵、沈金で
美術品の様な高価なお椀や重箱が売れていました。
30歳になって博は得意とする上塗りでの表現方法は出来ないものかと、試行錯誤をしている内に
昔からある輪島塗の色、赤漆と黒漆のグラディーションを復活させ、更に博独自の表現方法の塗り
方の試作を重ね、今までにない硝子のような透明感を思わせる艶感の漆器を開発した。
今までの漆器はどちらかと言うと、夏は色合いから使いづらいとの声を聞き、夏でも使い易い様な
ガラスを思わせる艶感で手に持った時、木の軽さ漆の柔らかさ優しさを感じれる漆器を制作したいとの
思いで開発した技法です。
只職人で有る事から行商には中々出れなかった為、中古のガラスケースを1個買い工房での展示で委託販売
からの発信を始める。
『中門漆器店の新たな販路の挑戦が始まる』
始めた時がまだバブルの絶頂期だった為、輪島の業者は塗だけの商品には見向きも
しなかったが、自分を信じて塗りの開発に取組んだ。
その内バブルが崩壊して、高価な輪島塗が売れなくなり業者は当工房の展示に目を
向ける様になり展示会に出した所、価格帯やデザインなどが今の生活様式に合う事で
販売に繋がった。 輪島の業界でその事が話題になり今迄取引が無かった業者も工房に
来て商品を仕入れる様になった。
その頃当工房では、現代の生活様式の変化を感じ和~洋の生活に合う漆器をデザインし
和モダンをテーマ―にグラディーションを売りとして販売していました。
売れている情報が輪島で広まると、大手会社でも類似品を製作するようになり赤黒で色までが
出てくるようになった。
そうなって来る事も踏まえて、赤黒のグラディーション曙塗りと同時進行で色漆のグラディー
ションにも取り組んでいた為、今度は色を使っての展開を提案して行くようになる。
色漆は色の調合、乾く時の乾燥の仕方で色が変化しますので大変高度な技術力と経験を
伴う、特に全く違う色のグラディーションは漆の乾燥や厚み、漆の濃度など経験を重ねないと
その日その日で湿度や気温により、まるで生き物のように違う顔を見せてきます。
2種類の色を使う場合は、全て同じ様な状態で無いと綺麗なグラディーションが生まれません
その為経験の無い他社では中々真似が出来ない事で、当工房のブランド力を高めて行く
方向に取組む。
色漆も製作した当時は、お客様や業者は見たことが無い輪島塗で斬新な輪島塗だと意見も
賛否両論で中々受け入れて貰えなかったが、何回か東京方面で展示会を重ねて行くにつれ
洋のテーブルでは色が有る事で、カジュアルになったり漆器は和の世界だが色漆での展開は
モダンな設えが出来る事で、少しづつ受け入れて貰えるようになり、今では中門の彩とまで
言われる様になる。
最近では若い方も自分用にカップを求められ、自分へのご褒美と嬉しそうにお買い上げ頂け
又、ご年配の方でも輪島塗は軽くて手に持っても熱さが伝わらないし、色合いも優しい色だと
気持ちが明るくなるからと、明るい色合いのカップを求められる方が増えてきています。
当工房は今迄の経験を活かし、色々な業界ともコラボし新規顧客の販路開拓に取組んでいて
2017年ではパリコレファションデザイナー森永邦彦氏のデザインで、アクササリーを制作し
若い年代に輪島塗のアクセサリーを発信して話題になる。
2018年はロンドンのジュェリーデザイナーともコラボして、ジュエリーやジュエリーボックスの
制作に取組み、ロンドンのギャラリーで販売している。
世界的に有名な展示会でも、とても評価が高く好評だと言われ『采色塗 なか門』の海外進出の始まり
です。
当工房、商品の特色とこだわり
上塗の伝統工芸士である中門博は、色漆の変わり塗りを研究し輪島塗の特徴でもある
黒漆と赤漆のグラディーション(曙)や色漆のグラディーション(彩り)を開発した。
漆の性質を研究し、独自の漆の調合で塗りたてのふっくらとした質感や、色漆の優しい色合いの
グラディーションで塗り上げ、今迄の輪島塗の概念を破り、モダンな輪島塗が当工房の特徴です。
カップなどは内外にぼかしを入れ、艶の有る漆で塗り上げる事で、ガラスの様な透明感や質感は
博塗りの特徴でもあり、夏にも漆器を使って頂きたいと思って開発した職人技で、技術力を求めら
れる塗りでもあります。
今では100色以上の彩りを漆で出す事が出来、最近ではパール漆や金漆のグラディーションに
も取り組み、独自性の有る新しい漆や塗り方を研究し、神秘的な漆の奥深さを表現している。
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